開発者の熱い思い!?パワーチェック物語
2021.01.06
開発裏話
イメージオンが収集した永年の各種データをもとに開発したNewマフラー&フロントパイプ。その実力やいかに?
実は完成前の早くから、ある程度のパワーUP&トルクUPをシュミレーションできたこのマフラー群だが、ただ普通に「パワーUPするよ~ん」と宣伝するだけでは他社製品との違いがハッキリしない。
開発スタッフ(←イメージオンの社長)は、「これではせっかく完成した本物の超自信作&高性能&かっちょいい&お買い得マフラーが、普通のカーショップで売っているノーマルに毛が生えた程度のマフラーと同じに見られてしまう」との焦燥に駆られた開発者の社長は強く思った。
「ここはやはり証拠が欲しい。誰が見てもわかる、明確な数値のデータが・・・」ここは男らしく(?)、シャキっとシャシダイにのっけて生データを採るしかない!
ナマと聞くと俄然やる気が出てくるのが男の性。神も味方してくれているのか、イメージオンの比較的ご近所にシャシダイがあるカーショップがあるではありませんか。
「こりゃ、ヤルしかない。そんでコレもホームページの宣伝に使おうよ?ねぇ」というワケで、意気上がる社長に広告担当者が1名同行する約束をすることになってしまったのです。
そしていよいよ運命の日。Newマフラーの性能が白日のもとにさらされてしまう日がやってきたのだった。
いつもどこかで僕らを見守る優しげな(?)社長・・・
2002年10月15日火曜日。天候・晴れ。
ジムニー専門隔月刊誌「スーパースージー」の取材日でもあった。
実はこの数日前、スーパースージー編集部も、「イメージオンが新作マフラーのチェックで、シャシダイに載せるらしい」との情報をどこからか入手し(一説にはイメージオン社長の「取材要請」との声も・・・)、記事にするためにカメラマンを送り込んできていた。
予定通り、午前10時に編集記事用の撮影が始まった。
まずはイメージオン店内で、完成したばかりのNewマフラーを撮影。
それが完了すると、今度はマフラー装着車の走行写真を撮影するために、いつも走行会で使用する東海大橋下に向うことになった。
撮影車両はおなじみの黄色いイメージオンデモカー・JA11だ。
「このデモカーは、今回のマフラー開発を進めるうえでのベース車となった由緒正しいマシンでもある」とのこと。この派手なクルマで市街地テストしたんですか・・・まさに驚き。
木曽川の川原にて。突然不可解なダッシュで走り去る社長・・・
手伝う姿勢もきちんと見せる、ソツの無い社長
走行シーンの撮影を終えると、残念ながら次の現場が入っていたカメラマンが去ってしまった。このあとの取材は我々二人だけである。
平日の昼間という異質な時間帯に木曽川河川敷という異質な空間に残された異様な我々は、とりあえず一旦店舗に戻った。
軽い昼食のあと、午後1時半から予約してあった愛知県稲沢市のカー用品店「オートプラザラビット稲沢店」に向かった。
本日のメインイベント・Newマフラー&フロントパイプ装着車のパワー計測である。
計測に向かう前に、デモカーに着けていたNewマフラーとフロントパイプの付け替えをした。
走行写真の撮影に使ったデモカーはエンジンにファインチューンを施してあるため、マフラー交換だけでのパワーの差がわかりにくいからだ。
また、敢えて「条件が悪いクルマ」でもパワーUPを達成してやりたい!という熱意もあった。
実際にパワーチェックを行った車両は、平成2年式のJA11。
走行は少なめの39,400kmだが、足廻りはおろか、プラグやエアクリーナーまで完全に12年前のノーマル状態。
さらに1年ほどオイル交換もされずに放置されてきた、メカ的には超バッドコンディション状態。
ジムニーマニアならば涙が出そうな状態で放置されていた車両だ。
深夜の米国通販TVの「おいおい、マジかよ!」という、あの最悪状態を思い浮かべて頂いてもあながちハズレではないだろう。
果たしてこんな状態の車がマフラーとフロントパイプだけでパワーアップするのだろうか・・・?予約時間にラビット稲沢店に到着。
1300馬力まで計測できる「ダイノパック」を設置している本格的カーショップである。
ローラー式ではなく、ロスが少ないハブ直付け計測タイプがウリであるこのシステム。
最大1300馬力まで、最小限の誤差で計測できるはずなのだが・・・
軽やかにダイノパックに進入するJA11。まさかこの直後に驚愕の事実が発覚するとは・・・
さっそくジムニーの計測準備を進めたところ、なんと
1300馬力まで測定できるはずのシャシダイがなんと「計測不能」という結果に終わってしまった!!!
この、一見普通に見えるノーマルJA11は、
実は1300馬力をオーバーするロケット並のジムニーだったのだろうか?
・・・・・んなこたぁない・・・・・
実はこのダイノパック、ホイールをはずしてハブに直接計測軸を取り付けるタイプのシステムなのだが、この店にはジムニーに合うハブアタッチメントが無かったようなのだ。
ハブ付近のボルトが干渉し、在庫の汎用アタッチメントが全く届かない・・・ハブに取り付けられなければ、残念ながらパワーチェックなどできるわけがない。
まったく、1300馬力すら計測できるシャシダイが通用しないクルマなのか、ジムニーは・・・。
しかし、もちろんここで諦める社長では無かった。
「愛知県名古屋市のスーパーオートバックスならローラー計測タイプのシャシダイがある」と聞くやいなや、早速そこに電話予約。
ジムニーを載せた積載トラックは一路名古屋高速を南に向かい、夕陽が迫る午後4時半に現地に飛び込んだのだった。
夕闇迫る時刻になって、ようやくスーパーオートバックスに到着・・・
店員に「ジムニーのパワー計測をしたい」と告げたが、その車種には何の関心も無いのか、躊躇無く申込書を差し出す。
ただ、我々とすれば1回計測だけでは全く意味が無いので、パーツを徐々に交換していくことでの変化をも見極めよう、との体勢を整えた。
- ノーマル状態
- リヤマフラーを1号に交換
- リヤマフラー1号+フロントパイプ2号(低回転型)交換
- リヤマフラー1号+フロントパイプ1号(全域型)交換
我々はこの合計4回の計測条件を設定した。
でなければNewマフラーのパワー比較チェックにならない・・・。
当然、マフラーとフロントパイプの交換作業も必要になるが、計測直後の熱された排気系パーツ交換作業は、ちょっぴりガマンして社長がすばやく交換する、という荒業でしのぐこととなった。
頑張れ社長!周囲のお客さんから視線も熱いパーツ交換風景
ぶぇぇぇ・・・・弱りきったノーマルマフラーの排気音は貧弱の一言(涙)
さらに細かいことを言うとこの数値、実は「ロス修正前」データなのだ。
このダイノシステムは、重いローラーをタイヤで回すタイプのため構造的にロスが発生しやすくなっている。
なので計測後、自動的にコンピューターが発生したと予想されるパワーロス分の修正を加えるのだが、その修正後の数値では、このジムニーは61馬力もあることになっていた。
なぜこのような信じがたい(素人的には喜びそうな)強大なパワー数値が出てしまうのだろうか?これには理由がある。
このダイノシステムが200馬力以上からが適正数値が出やすい、という設定だからだ。
コンピューターは馬力が低かろうが高かろうが同じように修正を加えてしまい、さらに200馬力以下のパワーの小さい車では計測のブレが相対的に大きくなってしまうため、このように修正しすぎてしまう現象が起こりやすいという。
500馬力車の1馬力と60馬力車の1馬力でも、コンピューター上では同じ「1馬力」。そりゃ修正しすぎもありそうだ。
我々はもちろん、馬力が低いほうの「修正前」データを重視することに決めた。
(「パワーアップ「9%」は、修正前データからの現実的な数値です)
一回ごとに画面でチェックしながら計測を進める。固定のロープを切ったら凄い事になりそうだナ・・・
これらの合間に社長がジャッキアップ&パーツ交換作業もしている、と各自脳内補完をお願い致します
マフラーを替えると結構な快音に。ローラーを勇ましく回す姿はなかなかのモノ
社長が後ろに乗っているのは遊んでいるワケではなく、動輪に過重をかけて空転ロスを減らすためだ
マフラー&フロントパイプの取り付け交換作業をしつつ、パワー計測を4回繰り返し、日もとっぷり暮れた時間に計測は終わった。
結果は別表を見て欲しい。これが完全な数値だ。このマフラーの実力でもある。
まずは馬力から。1回目(赤:ノーマルマフラー)と2回目(緑:Newマフラー1号装着)のパワー比較だ。(※これらの比較表は「修正後データ」をもとに作られています。表記数値はコンピューターで修正されているので、参考数値としてご覧下さい)下の軸は速度なので厳密な回転数ではないが、同じ速度でも全体的にパワーが増えているのがわかる。つまり、同じエンジンの回転数でもパワーアップしているということだ。1速でスタートし、12~3km/hで2速に。20km/h前後で3速。約40km/hで4速にシフトアップしたあとはアクセル全開という状態で計測している。
1回目(赤:ノーマルマフラー)と3回目(緑:Newマフラー1号&フロントパイプ2号装着)の比較。
2回目より明らかにパワーアップを果たしている。踏めば踏むほどパワフル感が増していく感じと言えばわかりやすいか。高速道路の合流時などに明らかに加速感を体感できる状態だ。高速域でのパワーの落ち込みも遅いので、排気量アップしたかのような感覚にもなるかもしれない。
軽自動車ではなく小型車に乗っているような安心感と、一クラス上の加速感を味わえるだろう。
そしてこれが1回目(赤:ノーマルマフラー)と4回目(緑:Newマフラー1号&フロントパイプ1号装着)の比較。
下から上までモリモリとパワーカーブを描いている。低回転時はもちろん、特に高回転時のパワーの盛り上がり感が強烈。ブーストアップ改造などではないため、ノーマルと同じ感覚のままパワーが約1割増ししている、といったところか。
このデータはドノーマルエンジン車で採取したためおとなしめだが、これにエアクリ交換、コイルやプラグなどの点火系交換、ブーストアップなどを施せば、夢の100馬力に最も近くなる可能性を秘めている。
どなたか、それに挑戦するつわものはいらっしゃらないだろうか?
ここからはトルクの比較表。クロカンなどでは特に重要となる要素だ。
まずは1回目(赤:ノーマルマフラー)と2回目(緑:Newマフラー1号装着)の比較。フロントパイプはノーマルのまま。2速のシフトアップが若干と、4速へのシフトアップポイントが早くなっている(2速時も早いが、同速度まで達しないうちにチェンジしているので省く)
また、シフトチェンジ直後の低速トルクが必要な時も、ノーマルよりすばやくトルクが立ち上がって加速を開始している。
これは日常走行でもかなりラクになるはず!もちろんクロカン時にもトルクの幅にゆとりが出て、扱いやすくなっているはずだ。
これは1回目(赤:ノーマルマフラー)と3回目(緑:Newマフラー1号&フロントパイプ2号装着)の比較。
パッと見、「ノーマルと変わらないじゃないか・・・」と思うかもしれないが、これがまたじっくり見るといろいろ見えてくるものだ。
まずは2速時を見て欲しい(時速14km/h~22km/hくらいまで)。ノーマル時よりも低トルク(低回転)まで落ち込んでいる(担当さんのシフトミス?)のに、3速へのシフトチェンジ時にはすでにノーマルより多いトルクを発揮している。
つまり同じ2速という速度域の中だけでもわかるほど、ノーマルよりトルクが出ているということであろう。さらに4速の中~高速時を見ても、ノーマルよりトルクが厚くなっているのがわかる。
追い越しなどの「ここぞ!」という時に、今まで以上の強力な威力を発揮することになるだろう。
そして最後に1回目(赤:ノーマルマフラー)と4回目(緑:Newマフラー1号&フロントパイプ1号装着)の比較。
もはや言うまでもなく、全域でノーマルとは段違いのトルクを得ることができている。
シフトチェンジ時にトルクが大きく落ち込んでいるのは、フロントパイプまで交換しているためにいわゆる「ヌケ」が良くなりすぎているため。
アクセルオフ時のエンジン回転の落ち込みが早くなっていると推測できる。
それでもアクセルを踏めばすぐに大トルクが発生するため、結果として低回転時から高回転時までトルクの山がつながる「どこで踏んでもグイグイ加速する」現象が起こっている。
それにしてもその実力がよくわかるのは、ノーマルより5~6km/h低速&低回転で4速にシフトアップしている箇所。
普通だったらドンガメ加速で「あ~あ」になるところだが、この組み合わせでは同速度になる頃にはすでに遥かに高いトルクを発揮してグイグイ加速しているのだからなぁ・・・
最終的に
「お世辞にも状態が良いとは言えないジムニーJA11」で、
「マフラーとフロントパイプの交換のみ」で、
「ノーマル比約9%のパワーアップを達成した」
という事実を改めてお伝えして、この長い長い一日の報告を終わりにすることにしよう。
【おまけ】
計測終了後、担当の店員さんに過去の計測車両について伺ってみた。
GT-Rやランエボなどは、マフラーとエアクリを替えただけであっという間に300馬力にも達するという。
R34GT-Rなどは出荷時のノーマル状態ですでに290馬力以上ある、と言われているのだから当然といえば当然か。
また、マフラーを交換しても劇的にパワーが増えない車種もあるという。
インプレッサ、VTECのホンダ車などがその例だそうだ。
ホンダのVTEC車はノーマル設計の時点から吸気~排気のトータルで効率を考えられており、エアクリーナーボックスをはずすだけでパワーダウンすることもある、と一部では有名だ。
恐るべし、バイクメーカー・・・・
また軽自動車では、奇しくも同形式のF6A(ツインカム版)を搭載するカプチーノがハイパワーの筆頭とのこと。ノーマル状態で60馬力以上。マフラーとエアクリーナーを替えるだけで70馬力を超え、さらにタービンを交換すれば100馬力以上にもなるという。
某漫画での激走シーンが目に浮かぶ逸話である。
それらのクルマと比べ、わずか660ccのシングルカムエンジンが9%もパワーアップしたというのは、本当に凄いことだと思う。しかもこの状態のドノーマル車で・・・。
逆にいえば、エアクリーナー・プラグ・プラグコード etc,.・・・と替えてあるマシンなどは更なるパワーアップが期待できる、ということだ!
これを読んでいるみなさんの愛車ならエンジン内部の状態も良いだろうし、さらにもっと良い数値が出ることは間違いないと思われる。
これはぜひともオススメしたいマフラーに仕上がった。ぜひお試し下さい。
それから、装着した感想を聞かせて頂けると今後のパーツ開発の参考になります。こちらもお気軽にご意見をお聞かせ下さい。
イメージオンは、今後も新たなオリジナルパーツの開発・研究に努力し続けます。
ジムニーの終わり無き進化のために・・・